暗号解読

暗号解読―ロゼッタストーンから量子暗号まで

暗号解読―ロゼッタストーンから量子暗号まで

暗号の起源から、その発展まで事細かに解説されていて、ものすごく面白い。暗号は、シーザー暗号から、2000年来の革命といわれるRSA暗号、そして量子暗号までが事実に基づいて、詳細に記述されている。この本を読むと、戦争が暗号解読を発達させ、暗号解読がコンピューターを生んだのだと考えさせられる。特に詳細なエニグマの解説は、自分で作れてしまうかのよう。サイモン・シンは徹底したインタビューと取材をもとに、事実をなるべく正確にかつ記述する作家だ。この本にもそれは生かされていて、今まで秘密に包まれていた暗号解読者のインタビューを幾つか明らかにしたてんで、非常に価値のある本。それにしても、アメリカのNSAなど、暗号解読に携わった人物は、ふだんの生活でも何も人に明かせず、死語何年もしてからその成果が評価されるようになるなんて、何という皮肉だろう。
しかし、RSAが生まれる前まで、ほとんどすべての暗号はシーザー暗号に代表される換字暗号にすぎなかったのか。