そして二人だけになった

そして二人だけになった―Until Death Do Us Part (新潮文庫)

最後のどんでん返しを書きたいが為なのか、犯人の動機がおざなり。どんでん返しにしても、何の複線も脈絡もなく提示されるので、「そんなこといわれてもなぁ」という感じ。ミステリというのは、作者と読者の間に緊張感があるものではなかったのか。あの結末は、どうとでもつけられる解釈の中で、作者が気に入ったものを提示しているに過ぎない。一人称だったら、何をかいてもありというのはひどすぎる。トリックはすばらしいのだから、もうちょっと練ってほしかったところ。
とまあ、散々に書いたが、展開は非常にスピード感があって、手が止まらない。それに、人が死んでもみなわりと冷静なのが気になった。きっと変わり者が集まっていたということなのだろう。