数奇にして模型

数奇にして模型 (講談社文庫)

今までの凡作がうそのように面白かった。本作では、身近な人物を多く登場させることで、萌絵のキャラクターを深く書くことに成功している。主人公は事件のおきていないときは多くの人と交流しているわけで、考えてみれば自然な話。今までなかったのが不思議なくらい。そのキャラクターも個性的だ。そもそも大学なんてのは、個性的なキャラクターの集まりみたいなもので、小説にしたら面白くないはずがない。これは私が今まで森博嗣に書いてほしいと思っていたことで、やっとそれが実現したような感じがした。
今回はかなり分厚いが、キャラクターが動いているおかげで、それも気にならない。大御坊はいいやつだし、国枝と金子はかっこいい。愛ちゃんは意味不明。
次は最終巻。期待は膨らむ。