マルドゥック・スクランブル 排気

すっごいものをよんだ。というのが第一印象。特にカジノシーンで目的を達したところでは、自然に涙が出てきた。生でも死でも、愛でも友情でもなく、涙を流せるなんて思わなかった。不遇な少女と、それをサポートする万能マスコットというありがちなテーマと、ありがちSFの小道具がちりばめられているが、この小説の本質はそこではない。バイオレンスとかっこよさと自分探しをミックスさせた、エンターテインメントなのだ。プロットにもそれが現れていて、ストーリー性にあまり必然性のないカジノシーンに物語の3分の1も割いているところだ。ところが、そのカジノシーンがすっばらしい。ここだけでも読む価値がある。