「イースター・パレード」

EQ#57(8705)掲載のネロ・ウルフシリーズの短編。「グッドウィンさん、私は君の好意にすがりたい」ウルフはこんなセリフをはいてしまうほど蘭のことになると夢中になってしまうのだ。この話の見せ場はここだけであるといってもいい。ウルフもののパターンとして、意図しない形で事件に巻き込まれてしまったために、警察と対立するという構図がある。ミステリが矛盾を生みやすい構造の中に、警察は無能であることと、探偵はむやみに自分の持っている情報を渡さない、というのがある。ウルフシリーズはさまざまなパターンでこういった矛盾を避けているところがいいんだよ。