世界短編傑作集 5
「証拠のかわりに」レックス・スタウトを収録。訳が古いのか、ニーロ・ウルフになっている。ウルフにミスリードさせることを意図する依頼人は、ろくな目に遭わないという好例。特にそれが立証できない事件の場合、ウルフによってひどい制裁を受けることになる。最後はまたしてもウルフが鬼畜な策をめぐらす。顔が吹っ飛んだ死体は本人かどうかを疑うのが推理小説の作法だが、それにウルフシリーズならではのひねりが加わって、いい味になっている。
ちなみに、この本はどの話も面白いく、全部読んで損はない。巻末にエラリー・クイーンの「黄金の二十」もついていて大変お得。
クイーンの選んだ重要な短編10作品(1920年までの年代別配列)
- エドガー・アラン・ポー「小説集」
- サー・アーサー・コナン・ドイル「シャーロック・ホームズの冒険」
- アーサー・モリスン「マーチン・ヒューイット探偵」
- バネロス・オルツィ「隅の老人」
- オースチン・フリーマン「ジョン・ソーンダイクの数々の事件」
- ウィリアム・マクハーグとエデウィン・ボルマー「ルーサー・トラントの功績」
- G・K・チェスタトン「ブラウン神父の童心」
- アーネスト・ブラマ「マックス・カドラス」
- メルヴィル・ディヴィッスン・ポースト「アブナー伯父」
- H・C・ベイリー「フォーチュン氏を呼べ」
クイーンの選んだ重要な長編10作品(1932年までの年代別配列)
- エミール・ガボリオ「ルルージュ事件」
- ウィルキー・コリンズ「月長石」
- アンナ・ギャザリン・グリーン「リーヴンワース事件」
- サー・アーサー・コナン・ドイル「緋色の研究」
- E・C・ベントリー「トレント最後の事件」
- フリーマン・ウィルス・クロフツ「樽」
- アガサ・クリスティ「アクロイド殺人事件」
- S・S・ヴァン・ダイン「ベンスン殺人事件」
- ダシール・ハメット「マルタの鷹」
- フランシス・アイルズ「レディに捧げる殺人物語」
収録作品(お薦めに○)
- ベイリー「黄色いなめくじ」
- C・ディクスン「見知らぬ部屋の犯罪」
- コリアー「クリスマスに帰る」○
- アイリッシュ「爪」○
- パトリック「ある殺人者の肖像」
- ヘクト「十五人の殺人者たち」○
- ブラウン「危険な連中」○
- スタウト「証拠のかわりに」○
- クック「悪夢」