煙か土か食い物

煙か土か食い物 (講談社文庫)

煙か土か食い物 (講談社文庫)

句読点を用いない非常にスピーディな文章で読者をグイグイと引っ張っていくハードボイルド小説。最初はただそれだけじゃんと思っていたが、主人公四郎がハチャメチャな推理を始めたころから面白くなってきた。回想シーンで語られる壮絶な暴力はすさまじく、このあたりから最後まで止まらなかった。事件も推理も回想も、結局愛情を表現するための材料だったのだ。作者の力量に驚いた。