詩的私的ジャック

詩的私的ジャック (講談社文庫)

詩的私的ジャック (講談社文庫)

ちょっと小休止という感じで、できはいまいち。作者はこの作品で、犯罪者の異常な心理を描きたかったのかもしれないが、描けていない。犀川まで「理解できない」という始末。結局そういわせるしかなかったのだろうか。それだけにトリックだけを取り出すと、一番難しかったかも。でも、犯人の遺留品の処分に関する考察は、ちょーっと無理があるかな。警察がそこを見逃すとは思えない。
それはおいといて、萌絵の成長と犀川の変化がおもしろい。前作までの萌絵があーんなに嫌な感じだったのに、成長した萌絵にはそんな感じがしない。森博嗣は、読者の感情まで手玉に取るか!気になった犀川の台詞があった。「甘えているとは、他人の思考を楽観的に期待していること」身につまされる台詞だが、自分を知るいい機会になる。