時計館の殺人
- 作者: 綾辻行人,皆川博子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1995/06/07
- メディア: 文庫
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この本のメイントリックは、作中に随所にちりばめられており、この作品まで順番に読んできた読者なら、作者の仕掛けた罠に気づくのも難しくはないだろう。それ以外の要素は、過去の暴露、奇妙な家系、連続殺人と館シリーズではおなじみで、死んでしまう運命のためか、そこの浅い人物描写、長年の親友を簡単に疑ってしまう不自然さはあいかわらず顕在だ。
ラストで語られるちょっと物悲しいストーリーが、この作品を凡作にさせない役目を果たしているが、これが、作者の本来の力量といえるのではないか。長さのわりに今ひとつで、私には楽しめなかった。