クビシメロマンチスト

クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識 (講談社ノベルス)

クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識 (講談社ノベルス)

相変わらず、何かを言わせたくさせる文章は健在。意味がありそうでない言葉、あっていそうで間違っている言葉も、豊富な語彙で読者をごまかす。そしてキモくて自意識過剰な主人公と、ご都合主義的登場人物。人に無関心なくせに関心を寄せられる、自分の頭では考えつつも、気が弱くて発言できない、やらないこととできないことは別と思っているため、何もできないのに自身だけは一人前。ナイーブそうでいて自分勝手。こういう人間は端から見るとキモイだけだ。下手にまねすると、友達なくすスパイラルに陥る。20代の頃は誰しも抱く一時の病気だから、あまり気にはならないが、実際に文章で読んでみると、気色悪いもんだなぁ。
それにしてもラストのどんでん返しはびっくりだ。今回も最後にひっくり返してくれるだろうと期待して、あれこれ想像しながら読んでいたが、全く予想できなかった。やるなぁ。
こういった感情を意図的に読者に生み出しているのだとしたら、作者はすごいとしか言いようがない。そして最後に、こういった狭い世界をぶち壊してくれたら、ほんとに尊敬してしまう。こんな淡い期待を抱いてもう少し読み進んでみよう。