ソラリス

ソラリス (スタニスワフ・レム コレクション)

ソラリス (スタニスワフ・レム コレクション)

一言でいってしまうと、地球外生命体とのコンタクトの話。だがそれにとどまらず、この本を読み解くには、幾つかのレベルがある。と、あとがきを読まないとこの作品の良さは分からない。だからといって、難解で退屈な本ではなく、最後まで読者を飽きさせない。主題がしっかりしているので、迷宮にはまることもない。非常に構成がしっかりとしていて、テーマと娯楽がバランスよく配置された希有な作品。
書き出しからして秀逸である。特に説明もなく、地球外惑星に降り立った主人公。そこで既に常駐している学者にあっていわれた第一声が「知らない、おまえなんか知らない」だ。それから先は不可解な現象の連続で、読者を飽きさせない。そして作者の用意したトリックに、次第に引き込まれていく。