老人と海

老人と海 (新潮文庫)

老人と海 (新潮文庫)

文学的な作品かと思えばさにあらず、かなりエンターテインメント色の強い作品であった。老人とまかじきとの戦いが延々と続き、ついにしとめたはいいが、船に積み込めず縛って海中に沈めたまま引っ張ることに。ところが浜に戻るまでには、鮫にほとんど食われてしまったという話。生への執着と目的達成への執念が描かれているがそれだけだ。あまり対した作品とは思えなかった。この本は、解説にかなりのページ数を割いている。ベルナール・ファイによると、「アメリカには、単に空間があるだけだ」そうだ。時間に縛られているヨーロッパ文学と対比させて、ヘミングウェイの文学的位置を説明している。歴史に捕らわれたヨーロッパ文学に対し、現実と未来をハードボイルドとリアリズムで描いたアメリカ文学の代表がヘミングウェイだということらしい。