世界の中心で愛を叫んだけもの

何が面白いかって、解説の作者の生い立ちが一番面白い。16の頃から不良少年として名を馳せ、万引きを咎められた書店の店主にこんこんと説教される中で、作家になる決意を固めた。兵役中は軍法会議にかかること4回。除隊時には「二度とくるな」と言われたそうだ。そんな作家のユーモアとバイオレンスに溢れた短編集。
そのユーモアの部分は傑作が多い。冗談としか思えない荒唐無稽なシチュエーションの中で、人間の真剣な行動を描く様がすばらしい。どの作品も、決して読みやすいとはいえないが、つぼにはまると非常に楽しい。