マークスの山(下)

マークスの山(下) (講談社文庫)

マークスの山(下) (講談社文庫)

下巻に入ってから、物語は俄然スピーディーになり、一気に読んでしまった。
それにしても、これほどまでに自分のプライド、情熱、意地をかけて捜査をする合田には恐れ入る。本人には義務感や使命感といったものはなく、あるのはただの正義感と職務上の責任感である。他の人物も立場は違えど同様である。作者はどうしてこれほどの人物を描けるのだろうか。私は合田と一つしか違わないが、適当に仕事をして、遊んでいる自分の重ね合わせると、合田の行動と、作者の描写力、人物造形にはただただ敬服するしかない。
繰り返すが、読みにくいので万人向けではない。読む対象をよく選ぶ作品といえる。