「ギャンビット」レックス・スタウト

EQ#87,88(9205,9207)掲載のネロ・ウルフシリーズの長編。ギャンビットとは、チェスの戦法で捨て駒のこと。この話はウェブスター第三版の火刑でも名高いらしい。ウルフが、ウェブスター第三版がくだらないといって、暖炉にくべてしまうシーンがあるのだ。そして、ウルフのはったりが絶大な効果を発揮する話でもある。推理よりも捜査の過程を楽しむ話といえよう。銘々が勝手なことばかりして、解決不可能に見えた事件だが、ウルフが引っかき回したおかげか、新たな事実が徐々に明らかになっていく。ウルフものとしてはオーソドックスな構成だが、展開に飽きさせない。しかしウルフに疑われると、たとえ自分が無実でも罪を認めてしまいそうになるよ。